利用課題
実用製品中の熱、構造、磁気、元素の直接観察による革新エネルギー機器の実現
パルス中性子を用いた中性子分光イメージング法とミュオンラジオグラフィ、X線イメージングの連携融合により、民間企業と研究機関・大学が連携して、実用製品評価に向けて新しい量子ビーム技術を開発し、実用化することより、製品の高性能化・高度化に貢献することを目指す。
中性子分光イメージング法は、透過中性子をエネルギー分析することにより、(1)物質内部の元素の識別、元素の持つ温度、(2)材料組織の原子構造、原子歪、結晶組織の形状・方位、(3)空間磁場、物質内磁場分布を可視化する技術であり、従来の中性子ラジオグラフィの技術ではなしえなかったバルク物質内部の物理特性の空間分布を画像化して、直感的な理解を得るものである。
一方、ミュオンラジオグラフィは負ミュオン捕獲法に基づく元素分析能力と高感度な深さ方向分析能力を活用した新しいラジオグラフィ技術である。X線イメージングにより得た高空間分解能の画像に、中性子とミュオンを用いて得た画像を併用することで、物理的・化学的な情報の空間分布をより精密化する。
本研究では、2次電池やモーター等のエネルギー関連実用製品の内部の物理的・化学的状態を稼働環境下における観察を行い、その結果を基に、これら機器の性能向上に貢献するものである。